“晴れ時々パラダイス”
『・・・?!』
7月7日、七夕の夕暮れ時。
追われまくっていた仕事が一区切りつき、ボンヤリと明日の段取りを考えていると、突然一筋の光明が射してきた。
釣りに行く前にはその時の空、風、火(家族仕事)、水、地(地合)の様子から自分が、釣っている姿をイメージする。それがリアルになるほどヤル気が湧いてくるのである。(不漁中年としては、現実とのギャップが大きく結果的には落胆するのがオチなのだが・・・)
その夕暮れ時もウスラバカ・ゲロウ的思考回路を仕事から釣りモードに切替えると・・・。
◎ 時:季節的にはこの梅雨を外してはなるまい。ただ、明日が土曜日であり、先行者がいる不安がほんの少し残るが、いつも行く日曜日よりはましだろう。
◎ 空:嵐の前の静けさか、曇り
◎ 風:1~3m
◎ 火:最近、根を詰めて仕事しているので家族からは色よい返事が返ってきそう、現場もチャンと動いているから大丈夫だろう。
◎ 水:今週は余り降っていないが、アソコは全く植林されていない天然林なので、丁度の水加減だろう。
◎ 地:デカイ岩魚を釣りたいから、もうアソコしかない。キャンプの子供相手に虹鱒を放流する特定釣場なので2000円必要だが、虹鱒は目じゃない。(ジャンプは面白いけど、場が荒れるし) 岩魚は稚魚放流だけなので、キレイな鰭ピンの岩魚が釣れる。下流からヤマメも差してくる。ここのポイントは村人の監視の目がある事である。監視がキツイので余り釣られていない、だからこの時期でもデカイのが残っている。とにかく釣果に餓えている不漁中年のステージはこうしてアソコに決定されたのであった。
こうして全てのイメージがモノクロームから総天然色に着色され、ジグソーパズルが完成する時を待っていたかのように物語は始まったのである。
5時半に現場到着するがお金を払う家には未だ明りが灯っていない。では、先に1ラウンドやってから、もう一度来る事にしよう。
簡単に準備し(ここは長靴も必要ないもんね、アハハ!)
一投目はココの必勝ポイントである落込み下のエグレを流すが反応無し・・・「また今日もアカンねんやろか?」
大岩魚は大抵ツガイで此処のエグレに潜っており、二匹釣れる筈なのだが?ウーン、よく見てみると、エグレの上に白泡が立っていて、黒い鏡が見えない。どうやら、大水で埋まってしまったようだ。
今度西サとスコップ持ってきて、川底を掘ってエグレを復旧しようか、アハハ! そうや、他の河川改修でも河床をゴルフボールの表面のようにディンプル加工してエグレをぎょうさん作れば・・・ムフフ・・・。
こんなアホな事を考えるのが私の長所なのである、アハハ!
そこからの開きでパシャンと出るが掛らず。次の溜まりに毛鉤を流す。岩魚はエディがお好きかな?と思うが、エディでは出ない。ではやはり流芯か?うまく流れに乗りが黒い影がユラリと動いた気がする。「?!」
ドッカーンと出ました岩魚ちゃん。「ヨッシャー!」一匹目からデカイ岩魚(小?)である。朝日に照射されナカナカ美しいのである。これは幸先が良いと喜んでエエのか、始めが良ければ後が続かないとはよく聞くし・・・後は釣ってのお楽しみーっと。
この時の「?!」に若干の問題が含まれていた。自分で予測してココ!で合わせたような気もするし、ピックアップする時偶然?に釣れてしまったような気もする。非常に微妙なのであった。これは感覚が鈍っているのかな、もっと鋭敏に集中せねばならないぞ。
次々と釣りあがっていくと、岩魚は瀬には出ていない。反応があるのは大小の淵、溜まりばかりである。淵ではあちらこちらで反応があり、どこを狙えば良いのか分らなくなるのだが、よく観察すると、かすかであっても他より流れが太い流芯があり出るのはその線上ばかりである。ちう事は淵という広い面が流芯という線に限定できる。あとは線上のどこで出るかだぞ。
ではでは、ホイ、ポトリ、ツツーッ、バシャン!(スカ)あちゃー、もうチョイ前やな、ココか?ホイッ、オーッ岩魚が見に来てたぞ、ちょっと早かったかな?ではもう少し後ろのココでどないや!っと、ピンポーン正解、正解、大正解!であった。フムフムあれくらいの流速の所やな。ヨッシャー!これで線が点に集約された。
冨士先生が仰る漏斗の根元とはこのポイントに違いないと思う。ただ、この日は岩魚が素直に出ていたので、スレている場合は定かではない。
この読み通りに次々と岩魚が飛び出し、第1ラウンドでは7匹ゲットとなった。心に余裕があったのと、運動靴のままだったので(アハハ!)ドン突きの堰堤下の大場所は又のお楽しみちう事にした。
一度引き返して、入漁料を支払い無罪放免のお札(領収書)を頂き、これで誰のお咎めも受けずに堂々と岩魚に集中できるぞ。
ところが、予想に反してやけにお天気が良い。これは困った、ココは○X山の斜面を東へ直線的に流れる川だから、午前中お天気が良いと自分の影が水面に映りこみ非常に具合が悪いのだ。では、樹木の陰が少しでもある場所で釣りながら、お天気の回復を待とう。(モチロン、この場合お天気が悪くなる事を回復と言うのである、アハハ!)
淵には大きな流木が残されている。岩魚はこんな場所もお好きかな?と、流木の際を流す。1回、2回、そして3回目、流木に引っ掛っては拙いのでチョットしゃくって進路修正するが、アレ?流木の枝との間隔が変わらない?なんでやろ?ホイ、ホイ。しゃくる度に枝が付いてくる。ピックアップすると枝も消えた。ア、アレ、枝と違ごて岩魚やってんや!淵にプカリと浮かんで日向ぼっこでもしとったんやろか?アハハ、大笑いや(5秒後、大笑いされるのは自分だったと気づくのであった、トホホ)
お陽サンが陰るのを見計らって釣っていくと、下流の区間ではキレイなヤマメの姿も見られる。
薄っすらと紅をさしたようなべっぴんのお母さんヤマメだったが、彼女をゲットした代償はナチュラルアートの4番がパッキーンであった、またやってしもた、トホホ!
今日使っているラインはぶっ飛びテンカララインであるが、今日は大きいのを釣るのが目当てなので、ハリスに相当する部分が太くなっているのをそのまま使っていた。竿の説明書きに『適合ハリス1号』と書いてある意味が本日ようやく理解できたのであった。「な~るほど、そういう事ね」と、少しはおりこうサンになったのである。車に取り返し、もう一本のナチュラルアート(これは5番が折れている、ナハハ)から4番を取り出し新旧合体竿とする。
元の場所に引き返してリベンジ開始。ブッツケの岩の下からデカイのが二度ひったくるように飛び出すが、鉤掛りしない。このハゲシイ出方は毛鉤が上手い事流れてないようやな。三度目は無いと諦めて背丈程の堰堤を登り上の段を攻め虹鱒を3匹ゲット。引き返す前に先程の流れを堰堤の上から逆引きすると、なんとまたもや、ドッカーンと出るではないか!バシッ!「ヨッシャ~ア~~~○■▲※!!!」と、ロシアのシャラポア選手のようなワケノワカラン雄叫びを上げて、その場にうずくまってしまったのであるぅ~。
「今のんムッチャ、デカかった・・・」
「軽うに尺は越えとったし、巾がヘラ鮒みたいに広かった、鉤外れやさかいにもう2度と出えへんし、クッソー! ほいでも色はチョット茶色っぽかった・・・ア、アレ、虹鱒や、でったいそうや。もし釣れとってもこんな上から取り込まれへんしどっちみちアカンかってんや」と、最近悟りの道を開きまくりの水鏡サは自慰するのであった。(注:擦ってないからね、ソコん所ヨロシク、アハハ!)
でも、逆引きの時はやっぱりもうワンテンポ遅く合せるほうがエエみたいやな、と無理やり学習した振りをするのであった。
午後は千代川への転進を考えていたのだが、お昼に飲んだサントリー“モルツ”のおかげで、その気は全く無くなってしまい、同じ川の残りの区間を叩いてみる事にした。サテ、行こかと腰をあげると、上から餌つりの若い人が帰ってきた。
「どない?釣れましたか」
「ええ、でも小さいのばかりで・・・」
「そうか、この辺りはワシ朝に入ったとこなんで2番川やし、しょうがないで」(ココだけの話、内心ウキキなのであった。→悟りは未だ開けていないようである、アハハ!)
『フム、餌つりの後に入ったらどないなるやろか?もう一度同じ所を叩いたろ、ドン突きの堰堤下も残しとるし・・・』
サスガに3番川はご機嫌斜めだったが、竿抜けのようなポイントでポツポツと出る。堰堤手前の小さい溜まりでピュッと影が走るのをクイと合わせると又もや大きい岩魚であった。
さっきの子、どこ釣っとたんやろ?
「大きいのおるやン」言うたったー、アハハ!(→でったいに悟りは開けていないと確信できるのである、アハハ!)
堰堤下ではでんでん反応なし。やっぱり、誰でも狙う所はアカンねんでぇ。
ここで、突然緊張の糸がプッツンと切れた、夕まずめも場所変えて叩くつもりやってんけど、この辺で竿置きまひょ。今日はもう堪能したワ。“晴れ時々パラダイス”ちうとこかな。おおきに、ありがとさんだした。
★★★最初は山人さん風文体を意識して書き出したのだが、いつの間にやらモロに播州弁になってしまったのであった。マア、よろしいやん。★★★
★おまけ
昨夜の岩魚&山女のお刺身御前だす、サア今晩は岩魚飯で一杯呑むどーっとな。
ほな


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